あなたは橘玲(たちばなあきら)さんをご存知ですか?
橘さんは元宝島社編集長の作家さんです
著書のラインナップとしては
『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』
『言ってはいけない—残酷すぎる真実』
『専業主婦は2億円損をする』(のちに『2億円と専業主婦』に改題)
『無理ゲー社会』
などセンセーショナルな題名の本も複数だされているのですが
マネーや出自に関する事柄についてはもとより、なかなか興味深い視点で世の中について洞察されている作家さんです
もし書店で橘さんの本を見かけたら立ち読みでもよいので手にとってみてください
今回はそんな橘さんのご著書「臆病者のための株入門」を紹介したいと思います。
「臆病者のための株入門」
新書形式で中には図表的なものもなく(ないゆえに)、入門とはいいながらなかなかに読み応えのある内容で、おそらく初心者の方には一読だけで内容を理解するのは難しいかもしれません
しかし株式投資にあたっての必須かつ普遍的な内容についてわかりやすく説明してくださっているので、何度でも読み返せるバイブル的な本として活用できると思います。
わたしも線を引きながら理解できるまで何度も再読をしていますが、
不思議とある程度投資について詳しくなってから読み返したほうが得るものが多いように感じています。
自分の経験をもとに時間が経ってから再度読みかえすと腑に落ちることが多いからなのかもしれません。
まず橘さんはまず本書の初めの方でこういいます
失うものがないからこそ、大きなリスクがとれる。言い方は悪いけど、成功するトレーダーは、いつの時代も、パチンコ屋の前で行列しているような若者たちのなかから現れるのだ。何千万円ものボーナスを受け取っている「金融のプロ」が、失敗すれば首が飛ぶようなリスクを冒すはずがないではないか。
金融市場は巨大なので、個人でも大きなリスクを負って巨額の利益を追い求めることができる。理屈のうえではリスクとリターンは均衡していることになっているのだが、現実には市場参加者のなかに、莫大な賭け金を積み上げながらも、リスクのきわめて限定されたひとたちがいる。
家庭とか、仕事とか、財産や名声とか、失うものの多い競争相手に比べて、彼らは圧倒的に有利な立場にいる。
「成功した」と称するトレーダーがどいういうひとたちかを見れば、そのことは一目瞭然だろう。もしもあなたに失うものがあるのなら、あなたが勝つ可能性はきわめて低い。
家族のことはかまわず投資にのめり込める時間と労力があれば大きなリスクを取ることができ、結果として大きく儲けることもできるかもしれませんが、家族のいる兼業投資家は現実的にはそういうわけにもいきませんね。
まずは上記の前提について理解しておくことが必要かと思います。
そのうえで橘氏はかつて自分が挑んだ超ハイリスクな投資をふりかえってこういいます
複利とレバレッジは、投資の世界を知るうえで必須の知識だ。とはいえ、私はハイリスクな投資を勧めているわけではない。なぜかというと、この取引をつづけていると、論理的には最後に必ず破綻するからだ。
いちばんの問題は、成功すればするほど投資総額がふくれあがり、株価が予想とは逆に動いたときの損害が大きくなることだ。それはやがて天が崩れ落ちるように、個人の人生を押しつぶしてしまうだろう。
市場には魔法使いが住んでいる。その魔法使いは気まぐれで、ニートの若者を時代のヒーローにすることも、億万長者を一夜にして堀のなかに落とすことも自由自在だ。
そしてだれも、自分にどんな魔法がかけられているのか、知らない。
リスクを取れば必ずしも儲かるわけではない、時には市場の魔法使いのさじ加減で投資人生が決まってしまう。株取引の魅力と怖さが伝わってくる文章ですね。
経済学的にもっとも正しい投資法とは
そして橘氏は本書の要諦部分で経済学的にもっとも正しい投資法を教授してくれています
これからファイナンス理論の核心にあるモダンポートフォリオ理論の話をしようと思う。これは経済学的にもっとも正しい投資法を教えてくれるのだが、際立ったふたつの特徴を持っている。すなわち、
(1)なぞそうなるのかを理解するのは難しい(少なくとも確率と統計についての基礎的な知識が必要になる)。
(2)「経済学的にもっとも正しい投資法」を実践するのはものすごく簡単である。
そのため(1)を飛ばして(2)だけにすると、話は一瞬で終わってしまう。
インデックスファンドに投資しなさい。
終わり。-
しかしこれではあんまりなので、面倒な数式などはいっさい使わず、理論の概略を紹介してみたい。
とつづきます。このあと本当に文字だけでエピソードなどを織り交ぜながらわかりやすく説明してくださるのが橘氏の著書のすごいところだと思います。
続きが気になる方は本書でご確認ください。
兎にも角にも『インデックスファンド投資』なのですが、なぜそうなのか?について知っておくとその優位性を利用しながら納得の投資をすることができるようになるのではないかと思います。
他にも投資用語がいろいろ
本書では株式投資をしていくうえでおさえておきたいトピックや言葉がいろいろと出てきます。
その一例をここで見てみたいと思います
・競馬必勝法が存在しないわけ
・宝くじは無知な人間に課せられた第二の税金といわれる由縁
・チャートで未来は読めるか?
・現在価値と割引率について
・株式評論家で儲けるには
・万人に正しい投資法
いずれも読んでみればなるほどな、と思える内容なのですが、読むまではよくよく理由がわかっていないという事柄が多いですね。
これらについて知っておかないと、橘氏のいう「ネギを背負ったカモ」になる可能性があるということです。
金融商品の多くが「カモ」からぼったくることを目的に作られていることに気づかず購入してしまうことはできるだけ避けたいですよね。
そのためにも株式取引で損をする前に本書で一通り学んでおくことをおすすめしたいと思います。